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June 09, 2004

[BOOK] FICTION!/石丸元章

 (扶桑社)1333円+税
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我々は「現実」と「虚構」が混線した世界に生きている

 日本においてゴンゾ(ならず者)ライターを名乗っている人が何人いるかは知らないが、間違いなくその第一人者にして代表者でもある石丸元章の、前作『フラッシュバック・ダイアリー』以来約1年半ぶりの単行本がリリースされた。自身のドラッグ体験をもとにした『SPEED』をはじめ、世間的にはノンフィクション作家と認識されている石丸氏だが、彼の著書を一冊でも読めばわかるように、そこに描かれているユーモラスかつデンジャラス、スピード感とナンセンスに溢れる文章からは、現実と非現実の区別はほとんどつかない。例えば『SPEED』の冒頭シーンで、シャブをギンギンにきめた石丸氏が、当時の重要任務であった宇宙警察のパトロール中に、これまたパトロール中の日本のお巡りさんに出くわす所なんかは、現実と妄想が見事に混線していて、こちらとしてはひとまず大いに笑うしかない。この「虚実ないまぜ」こそが石丸作品の大きな魅力であるのだが、今作は、タイトルをズバリ「FICTION!」とし、氏初めてのフィクション、ショートショート作品集となっている。

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June 06, 2004

[BOOK] 「非国民」手帖/歪・鵠

 (情報センター出版局)1400円+税
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暴力的な圧政に抵抗しうるのは暴力的な言論だけ

 『噂の眞相』(以下、噂眞)の休刊後、名物の一行情報や人気連載コラムなどが次々と単行本化されているが、ある意味で噂眞を最も噂眞たらしめていたコラム「撃(げき)」がこのほど単行本化された。連載中は、巻末の「編集長日誌」ほどには目立たない感の「撃」であったが、「歪」(ひずみ。ゆがみも可)「鵠」(くぐい)という謎の人物2人によって1993年から休刊号まで続けられたこのコラムが体現していたものこそ、編集長・岡留安則が最もこだわっていた「反権力」の姿に他ならない(一時期、僕は、筆者の「歪」「鵠」とは、岡留氏の変名かと思っていたほどだ)。噂眞編集部による本書のまえがきに書かれた「撃」の位置付けこそが、このコラムの重要性を語っている。つまり、「『噂の眞相』の批判精神を凝縮した、いわば「社説」のような役割を果たしていた」と。

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June 04, 2004

[COMIC] 新・中学生日記3/Q.B.B.

 (青林工藝舎)980円+税
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人生で一番ダサイ季節・中学生。
シリーズ最新刊はついに恋愛章に突入…か?

 ヘボヘボのマンガを書かせたらこの人の右に出る者がないQ.B.B.こと久住昌之&久住卓也が描く「新・中学生日記」の<いよいよ恥ずかしい>第3巻。文春漫画賞を取った第一期「中学生日記」は男子校が舞台だったが、第2期である「新・中学生日記」の方は共学になっているのがポイント。つまり、異性のことで頭がいっぱいなのだが、そのほとんどは妄想という、非常に居心地の悪い状態の男子女子の滑稽な様子が実に巧みに描かれている。

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June 03, 2004

[BOOK] 淋しいのはお前だけじゃな/枡野浩一(短歌・文)/オオキトモユキ(絵)

 (晶文社)1400+税
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それならば イブにはダウンジャケットと
鳥撃ち帽をぬいで祈りを

 この短歌を読んで、「そういえば、初期の枡野さんって髪も長くて、いつも鳥撃ち帽をかぶってたなぁ」と8年程前のことを思い出した。当時、ロフトプラスワンでは、ライター養成独立夜間学校「ライターズ・デン」というイベントが月イチで開催されていたのだが、そこに枡野さんはお客として来ていたし、時にはゲストとして壇上でしゃべったりもしていた。枡野さんは、音楽ライターをやりながら、これまでとは全く違ったタイプの歌人(強いて言うなら「サブカル歌人」?)としてデビューしたばかりだった。95年に角川短歌賞に応募し、審査員5名中4名の票を集めたのになぜか落選したという経歴によって、本人が望むと望まないにかかわらず、枡野浩一は権威(歌壇)を否定する反逆者として世に登場したのだ。そして、背が高く線の細い枡野さんが鳥撃ち帽を目深にかぶった姿は、彼の書く短歌と同様、ナイーブで孤独なイメージを放っていた。

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[CD] Berryz工房/あなたなしでは生きてゆけない

ゼティマ ¥1,050 (税込) /OUT NOW
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 思い起こせば、ミニモニ。の成功後に行われたオーディションで、小学生による「ハロプロ・キッズ」(以下キッズ)なるものが結成された時は、当時のモーニング娘。5期メンバーの不調も重なって、「ハロプロは子供路線に走ったか?」とバッシングが吹き荒れたものだ。その後は、映画の端役や、いくつかのユニット以外にはたいした話題もなかったキッズから、ついにその真価を試されるべきユニットが登場した。それがこの、キッズ8人からなるBerryz工房なのだ。
 正直、これがこけたらキッズの未来は暗いなぁという不安の中聴いた当デビューシングルだが、なんと、民族音楽調のリフレインとクールなR&Bが合体した近年まれにみる快心作! しかも、すでに国民的人気グループとして完成されたモーニング娘。に比べ、バッシングの中から登場したBerryz工房に、かつてのASAYAN時代の娘。の姿を重ねる人も多いだろう。新しい物語のはじまりを感じさせるBerryz工房に刮目すべし!

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[CD] SPEED/Kiss On (Live at LOFT 85)

CTCD-445 /¥3000 /5.15 OUT
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 日本のパンクロック黎明期に、フリクション、リザードなどからなる東京ロッカーズのムーヴメントがあったことは多くの人達が知るところであるが、そのごく初期にSPEEDがかかわっていたことは意外に知られていない。それは、SPEEDが徒党を組むことを好まない孤高のバンドだったことや、残された音源が少ないなどいくつかの理由があるが、僕も、当時の東京ロッカーズを記録した幻のドキュメント映画「ロッカーズ」でしかSPEEDの姿にふれたことはなかった。ある種伝説的な存在であるSPEEDだが、その貴重なライブ音源が今回Captain Trip Recordsから発売された。1985年新宿ロフトで行われたこのライブ音源では、初期のストレートなパンクバンドというイメージをいい意味で裏切る、ブルース&ヘヴィロックな長尺の曲がディープに展開される。それは、60年代末のサイケデリック・ロックから村八分などを経由して連綿と受け継がれてきた日本のアンダーグラウンドロックのひとつの頂点でもあるのだ。

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June 02, 2004

[BOOK] 「族」(写真集)/吉永マサユキ

 (リトルモア)4800円+税
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彼にしか撮れない写真

 雑誌『BURST』の人気連載「若き日本人の肖像」でお馴染みの写真家・吉永マサユキの最新写真集が刊行された。「族」というタイトルが表すとおり、本書は吉永氏が7年間撮り続けた暴走族の写真のみで構成されている。在日外国人、ヤクザ、肉体労働者、右翼、ドラァグ・クイーンなどこれまで一貫してマイノリティに属する人間を撮り続けてきた(これらの作品は写真集『申し訳ございません』(新潮社)で見ることができる)吉永氏にとって、暴走族を撮ることは写真家/表現者としてのライフワークとなっているし、このような写真を撮るカメラマンは吉永氏をおいて他に見当たらないのではないだろうか。

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June 01, 2004

[BOOK] 我自由丸 ─ガジュマル─/遠藤ミチロウ 写真・遠藤貴也

(マガジン・ファイブ)3500円+税
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<ガジュマル>と<我自由丸>

 遠藤ミチロウ関連のアイテムを次々とリリースしているマガジン・ファイブから、今度は、最新写真集と新録CDが合体した<フォト&ミュージック・ブック>が登場した。
 今年の7月に、THE STALINの歴史的証人である石垣章氏が1981年から85年の間に撮影した写真集『吐き気がするほどロマンチックだぜ!』が発売しているが、今作は、ミチロウより一回り若い写真家・遠藤貴也氏が、最近のミチロウを撮り下ろした写真である。あえてこの両者を比較してみると、『吐き気…』はSTALINのライブを中心にモノクロで撮影されており、当然のことながら狂気や混沌、興奮と熱気が渾然一体となったものである。一方『我自由丸』の方は、奄美大島の海と森、北海道の豪雪、信濃川のチューリップ畑といった自然の中で、ミチロウが静かに佇む姿を中心とした美しいカラー写真が多く使われている。さらにいえば、前者の写真がライブハウスやホールという閉ざされた密室空間であるのに対し、後者の場合は、水平線や砂浜、川や空が随所に写っていて、非常にオープンな写真になっている。

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